鼠径ヘルニア(脱腸)の原因と症状

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)は、腹壁の筋肉や組織が弱くなり、内臓がその隙間から突出する病気です。具体的には、鼠径部(陰嚢や女性の場合は外陰部)の筋肉が弱くなることで、内臓(通常は腸)が鼠径部を通過し、鼠径ヘルニアを引き起こすことがあります。

鼠径ヘルニアは、男性よりも女性の方が発症率が低い傾向があります。主な症状は、鼠径部の膨らみや腫れ、痛みや不快感などです。時には、内臓がヘルニア嚢(腹膜や腸などの袋)内で捻じれたり、圧迫されたりすることで、緊急手術が必要になる場合があります。適切な治療を行わないと、鼠径ヘルニアは悪化することがあるので、症状が現れた場合には早めに医師に相談することが大切です。

鼠径ヘルニアの症状

鼠径ヘルニアの症状には、以下のようなものがあります。
  1. 鼠径部の膨らみや腫れ:鼠径ヘルニアでは、腹腔内の臓器が鼠径部を通過して、鼠径部に膨らみや腫れが生じます。この部分を触ると、膨らんでいる部分が触れることがあります。
  2. 痛みや不快感:鼠径部に痛みや不快感が生じます。特に、体を動かしたり、咳をしたりすると痛みが増します。
  3. 内臓の捻じれや圧迫:重症の鼠径ヘルニアの場合、内臓がヘルニア嚢(腹膜や腸などの袋)内で捻じれたり、圧迫されたりすることがあります。この場合は、激しい痛みや激しい吐き気、嘔吐などの症状が現れることがあります。
  4. 違和感:鼠径部に違和感が生じることがあります。この違和感は、軽い場合はあまり気にならないことがありますが、重い場合は非常に不快な症状となります。

これらの症状が現れた場合には、早めに医師に相談することが重要です。適切な治療を行わないと、鼠径ヘルニアは悪化することがあります。

鼠径ヘルニアの原因

鼠径ヘルニアの主な原因は、腹壁の筋肉や組織が弱くなることによるものです。具体的には、以下のような原因が考えられます。
  1. 加齢による腹壁の弱化:加齢により腹壁の筋肉や組織が弱くなり、ヘルニアが生じやすくなります。
  2. 急激な体重増加:急激な体重増加により、腹壁に負担がかかり、ヘルニアが生じることがあります。
  3. 慢性的な腹圧上昇:慢性的な腹圧上昇が続くと、腹壁に負担がかかり、ヘルニアが生じることがあります。例えば、慢性的な便秘や強い咳、過剰な腹筋運動などが原因となります。
  4. 先天的な腹壁の弱さ:先天的に腹壁が弱く、ヘルニアが生じやすい場合があります。
  5. 男性の場合、陰嚢の発達:男性の場合、陰嚢の発達に伴って、鼠径部の筋肉が弱くなりやすくなります。

これらの原因が複合的に関与して、鼠径ヘルニアが発生することがあります。

鼠径ヘルニアの治療法

鼠径ヘルニアの治療法には、以下のような方法があります。
  1. 手術治療:重症の鼠径ヘルニアの場合、手術による治療が必要となります。手術では、腹壁の弱い箇所を補強するために、メッシュや糸などの人工物を使用することがあります。手術は、局所麻酔または全身麻酔の下で行われます。
  2. 保守的な治療:軽度の鼠径ヘルニアの場合は、保守的な治療が行われることがあります。保守的な治療には、腹圧を下げるための運動や、ヘルニア部分を保護するためのサポーターの使用が含まれます。

どちらの治療法を選択するかは、患者の症状の重さや治療のリスク・効果などを考慮して、医師が判断します。適切な治療を受けることで、鼠径ヘルニアの症状を改善することができます。

鼠径ヘルニアと診断されたら

鼠径ヘルニアと診断された場合は、以下のようなことが必要になります。
  1. 医師の指示に従う:医師が指示する治療法や生活習慣改善の方法に従うことが重要です。治療を怠ると、症状が悪化することがあります。
  2. 生活習慣の改善:日常生活において、腹圧を下げるための運動や、適度な食生活、適切な姿勢などの改善が必要です。また、喫煙や過剰な飲酒などもヘルニアの発生に影響を与えるため、これらの改善も必要です。
  3. 医師の指示に従った治療を受ける:重度の鼠径ヘルニアの場合は、手術が必要となることがあります。手術は、症状の改善に効果的ですが、手術後のケアやリハビリにも十分な注意が必要です。

鼠径ヘルニアは、自己治癒することはありませんので、早期に医療機関での診察を受け、治療を行うことが大切です。

鼠径ヘルニアの予防法

鼠径ヘルニアの予防法には、以下のような方法があります。
  1. 適切な運動:腹圧を下げるための運動を行うことで、鼠径ヘルニアの発生を予防することができます。例えば、ウォーキングや水泳などの有酸素運動、プランクや腹筋運動などの筋力トレーニングが効果的です。
  2. 適度な食生活:肥満や便秘が鼠径ヘルニアを引き起こす原因となることがあります。適度な食生活を心がけ、バランスの良い食事を摂ることで、予防につながります。
  3. 過剰な力をかけない:日常生活において、過剰な力をかけないようにすることが重要です。例えば、重い荷物を持ち上げる際には、膝を曲げて腰に負担をかけないようにするなどの工夫が必要です。
  4. 喫煙の禁止:喫煙は鼠径ヘルニアを引き起こす原因となることがあります。禁煙することで、予防につながります。
  5. 適切な姿勢:正しい姿勢を保つことも予防につながります。特に、長時間同じ姿勢を続ける仕事をしている場合は、適宜休憩をとるなどの工夫が必要です。

以上の予防法を実践することで、鼠径ヘルニアの発生を予防することができます。