緑内障とは
緑内障は、視神経が障害されることで視野が狭くなる病気です。初期には自覚症状がほとんどなく、進行すると視野の欠損や視力低下を引き起こし、最悪の場合失明に至ることもあります。
緑内障の種類
緑内障は、大きく分けて以下の4つの種類があります。
- 開放隅角緑内障
- 最も一般的なタイプで、眼圧が徐々に上昇し、ゆっくりと進行します。
- 初期には自覚症状がほとんどありません。
- 閉塞隅角緑内障
- 眼内の水の出口である隅角が急激に狭くなり、眼圧が急上昇します。
- 急激な眼痛、頭痛、吐き気などの症状が現れることがあります。
- 正常眼圧緑内障
- 眼圧が正常範囲内にもかかわらず、視神経が障害されるタイプです。
- 日本人に多いとされています。
- 先天緑内障
- 生まれつき隅角の構造に異常があるために起こります。
- 乳幼児期に発症することが多いです。
- 続発緑内障
- 他の目の病気や全身疾患、薬剤などの影響で起こります。
緑内障の症状
緑内障の初期には、ほとんど自覚症状がありません。進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 視野が狭くなる
- 視力低下
- 目の痛みや充血
- 頭痛や吐き気
- 光を見たときに、光の周りに虹のようなものが見える(ハロ・グレア現象)
緑内障の原因
緑内障の主な原因は、眼圧の上昇です。しかし、眼圧が正常範囲内でも緑内障を発症することがあります。その他、視神経の血流障害や遺伝的な要因も関係すると考えられています。
緑内障の検査
緑内障は、早期発見・早期治療が非常に重要です。以下に、緑内障の主な検査方法について説明します。
1. 眼圧検査
- 眼球内の圧力(眼圧)を測定します。
- 眼圧が高いと、緑内障のリスクが高まります。
- 測定方法には、眼に直接器具を当てる方法と、空気を吹き付けて測定する方法があります。
2. 眼底検査
- 目の奥にある視神経の状態を観察します。
- 視神経が障害されているかどうかを確認します。
- 瞳孔を開く目薬を点眼して、眼底カメラで撮影します。
3. 視野検査
- 見える範囲(視野)を測定します。
- 視野の欠損の有無や程度を確認します。
- 視野計という装置を使って、光の点が見えたらボタンを押して測定します。
4. 隅角検査
- 眼内の水の出口である隅角の状態を観察します。
- 隅角が狭くなっているかどうかを確認します。
- 特殊なコンタクトレンズを目に当てて観察します。
5. 光干渉断層計(OCT)検査
- 視神経の断面を画像化し、視神経線維の厚みを測定します。
- 緑内障の早期発見や進行の評価に役立ちます。
- 短時間で、痛みもなく検査できます。
検査を受ける際の注意点
- 検査内容によっては、瞳孔を開く目薬を使用するため、検査後に一時的に見えにくくなることがあります。
- 検査後は、車の運転を控えた方が良いでしょう。
- 検査について不安な点や疑問点があれば、眼科医に相談してください。
これらの検査を組み合わせることで、緑内障の早期発見・早期治療に繋がります。定期的な眼科検診を受け、目の健康を守りましょう。
緑内障の治療
緑内障の治療は、進行を遅らせ、視野を維持することを目的としています。現在の医療では、残念ながら一度障害された視神経を回復させることはできません。しかし、適切な治療を行うことで、進行を遅らせ、失明のリスクを減らすことができます。
緑内障の主な治療法は以下の通りです。
1. 薬物療法(点眼薬、内服薬)
- 最も一般的な治療法で、眼圧を下げるために点眼薬を使用します。
- 点眼薬には、房水の産生を抑えるもの、房水の流出を促進するものなど、様々な種類があります。
- 緑内障の種類や進行度合いによって、適切な点眼薬が選択されます。
- 内服薬が処方される場合もあります。
2. レーザー治療
- 薬物療法で十分な効果が得られない場合や、特定のタイプの緑内障に対して行われます。
- レーザー光線を用いて、房水の流出を促進したり、隅角を広げたりします。
- 代表的なレーザー治療には、レーザー線維柱帯形成術(SLT)やレーザー虹彩切開術などがあります。
3. 手術療法
- 薬物療法やレーザー治療で十分な効果が得られない場合や、進行した緑内障に対して行われます。
- 手術によって、房水の流出路を新たに作成したり、房水の産生を抑制したりします。
- 代表的な手術には、線維柱帯切除術やチューブシャント手術などがあります。
緑内障治療の注意点
- 緑内障の治療は、根気強く続けることが大切です。
- 医師の指示に従い、定期的な検査と治療を受けましょう。
- 自己判断で治療を中断したり、変更したりしないでください。
- 緑内障について不安な点や疑問点があれば、眼科医に相談してください。
緑内障は、早期発見・早期治療が非常に重要です。定期的な眼科検診を受け、目の健康を守りましょう。
緑内障と生活
緑内障と診断されても、日常生活を送る上で過度に心配する必要はありません。しかし、いくつかの注意点や工夫を取り入れることで、より快適に過ごすことができます。
日常生活での注意点
- 定期的な眼科受診
- 医師の指示に従い、定期的な検査と治療を継続することが最も重要です。
- 自己判断で治療を中断したり、変更したりしないでください。
- 眼圧を上げない生活
- 前かがみの姿勢や、腹圧のかかる運動(重いものを持ち上げるなど)は避けましょう。
- 水分を短時間に大量に摂取することも眼圧上昇につながるため、控えましょう。
- ネクタイやベルトなどで首や腹部を締め付けないようにしましょう。
- 規則正しい生活
- 十分な睡眠と休息をとり、ストレスを溜めないようにしましょう。
- バランスの取れた食事を心がけ、過度の飲酒や喫煙は控えましょう。
- 目を大切にする
- 長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は避け、適度に休憩をとりましょう。
- 紫外線対策として、サングラスや帽子を使用しましょう。
緑内障と運転
- 緑内障が進行すると、視野が狭くなり、運転に支障をきたす可能性があります。
- 医師に相談し、運転の可否について判断を仰ぎましょう。
- 運転をする場合は、視野の狭まりを考慮し、慎重に運転しましょう。
緑内障と運動
- 適度な運動は、全身の血流を改善し、眼にも良い影響を与えます。
- ただし、眼圧が上昇する可能性のある運動(逆立ち、重いものを持ち上げるなど)は避けましょう。
- ウォーキングや軽いジョギング、水泳などがおすすめです。
緑内障と食事
- 特定の食品が緑内障に直接影響を与えるわけではありませんが、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
- 抗酸化作用のあるビタミンやミネラルを豊富に含む食品(緑黄色野菜、果物など)を積極的に摂取しましょう。
- 過剰なカフェインの摂取は眼圧上昇につながる可能性があるため、注意が必要です。
その他
- 緑内障について不安な点や疑問点があれば、遠慮せずに医師に相談しましょう。
- 緑内障患者向けの相談窓口や患者会もありますので、必要に応じて活用しましょう。
緑内障と診断されても、適切な治療と生活習慣によって、進行を遅らせ、快適な生活を送ることができます。
緑内障に関するQ&A
Q1. 緑内障は遺伝しますか?
A1. 緑内障の種類によっては、遺伝的な要因が関係することがあります。特に、若年で発症する緑内障や、特定のタイプの緑内障(正常眼圧緑内障など)は、家族歴がある場合に発症リスクが高まる可能性があります。しかし、全ての緑内障が遺伝するわけではありません。
Q2. 緑内障は治りますか?
A2. 残念ながら、緑内障によって一度失われた視神経や視野は、現在の医療技術では回復できません。しかし、早期発見・早期治療によって、進行を遅らせ、視野を維持することは可能です。
Q3. 緑内障の予防法はありますか?
A3. 緑内障を完全に予防する方法はありませんが、早期発見・早期治療が最も重要です。以下の点に注意しましょう。
- 定期的な眼科検診を受ける(特に40歳以上の方、家族歴がある方)
- 健康的な生活習慣を送る(バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙)
- 目を大切にする(長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用を避ける、紫外線対策)
Q4. 緑内障と診断されたら、運転はできなくなりますか?
A4. 緑内障の進行度合いによっては、運転に支障をきたす可能性があります。医師に相談し、運転の可否について判断を仰ぎましょう。運転をする場合は、視野の狭まりを考慮し、慎重に運転する必要があります。
Q5. 緑内障に良い食べ物はありますか?
A5. 特定の食品が緑内障に直接効果があるわけではありませんが、抗酸化作用のあるビタミンやミネラルを豊富に含む食品(緑黄色野菜、果物など)を積極的に摂取しましょう。バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
Q6. 緑内障の治療費はどのくらいかかりますか?
A6. 緑内障の治療費は、治療方法や進行度合いによって異なります。点眼薬による治療であれば比較的安価ですが、レーザー治療や手術が必要になると高額になる場合があります。詳しくは、眼科医にご相談ください。
Q7. 緑内障の進行を遅らせるために、日常生活で気を付けることはありますか?
A7. 日常生活では、以下の点に注意しましょう。
- 医師の指示に従い、点眼薬を正しく使用する
- 定期的な眼科受診を欠かさない
- 眼圧を上げない生活を送る(前かがみの姿勢を避ける、水分を短時間に大量に摂取しないなど)
- 規則正しい生活を送る(十分な睡眠、ストレスを避ける)
Q8. 緑内障の初期症状は?
A8. 緑内障の初期には、ほとんど自覚症状がありません。そのため、定期的な眼科検診が早期発見には非常に重要です。
Q9. 緑内障の検査は痛いですか?
A9. 眼圧検査や眼底検査など、一部の検査では多少の不快感を伴うことがありますが、基本的に痛みはありません。
Q10. 緑内障と白内障は同時に起こりますか?
A10. 緑内障と白内障は、どちらも加齢に伴って発症しやすい病気です。そのため、同時に発症することもあります。