糸球体とともにネフロンを形成して、原尿中の栄養分や水分の再吸収、老廃物の分泌をおこなっている尿細管にも病気が発生します。
尿細管は糸球体に近い方から近位尿細管、ヘレン脚、遠位尿細管、集合管と呼ばれていて、それぞれのはたらきがあります。
尿細管間質性腎炎とは?
尿細管間質性腎炎は、多くは薬剤によるアレルギーで発症します。
腎臓の尿細管と間質に炎症が起きて、急性の場合は急激に腎不全に陥るとも少なくありません。
急性尿細管間質性腎炎
発熱、発疹、関節痛、腰痛などの症状があらわれ、尿検査では尿タンパクや血尿、好酸球尿などがみられます。
血液検査では好酸球増多症がみられ、原因薬剤によって特徴的な変化があらわれます。
治療はまず原因薬剤の中止と副腎皮質ステロイド薬の投与をおこないます。
必要ならば血液透析もおこないますが、薬剤を中止することで症状は改善されるので透析も多くは一時的なものですみます。
慢性尿細管間質性腎炎
慢性の場合は背後に自己免疫疾患や代謝性疾患が隠れていることがあるので、そのチェックも大切です。
また、薬剤だけでなく、細菌やウィルスの感染によっても引き起こされます。
急性のように症状があらわれることは少なく、尿毒症の症状があらわれるまで気付かないこともしばしばです。
多尿、頻尿、夜間尿、倦怠感、食欲不振、体重減少、睡眠障害などがみられたら、ただちに腎臓内科を受診してください。
慢性の場合は原因薬剤を中止しても病変がもとにもどらない不可逆性であるため、腎機能をできるだけ維持することに治療の目標がおかれます。
多くは慢性腎不全に陥るので、腎不全を進行させない保存的療法を続けます。
腎性糖尿とは?
腎性糖尿とは近位尿細管でブドウ糖が再吸収されないため、糖尿があらわれる病気です。
このとき、血糖値を測っても正常値であることが条件です。
つまり、糖尿病ではインスリンのはたらきが悪いため血中のブドウ糖が過剰になり、血糖値があがります。
これに対して腎性糖尿では、インスリンのはたらきは正常で血液中の血糖値も正常なのに、その正常値のブドウ糖を近位尿細管で再吸収できないために糖尿が出るわけです。
症状はほとんどなく、健康診断などで尿糖を指摘されて血糖値を測っても正常というところからみつかることが多いようです。
また、糖尿病に移行することは無いですが合併することはあります。
治療は、原因疾患があるならその治療と、排泄されてしまう物質の補充療法をおこないます。