尿路系にできる腫瘍は腎実質腫瘍と腎盂腫瘍、尿管腫瘍、膀胱腫瘍、前立腺腫瘍に大きく分けられます。
腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、悪性の代表的なものが「癌」です。
腎実質癌とは?
腎臓の中にできる腫瘍を腎実質腫瘍といいます。
そのほとんどが悪性の癌で、約8割が成人や高齢者にみられるグラヴィッツ腫瘍、2割が5歳以下の子供にみられるウィルムス腫瘍です。
腎実質がんは、主に50〜60歳代の男性にみられます。
症状としては突然、血尿があらわれることで症状がはじまります。
この血尿は痛みがなく、数回で自然に止まってしまうので安心してしまう人も多いのですが、実は癌の初期症状です。
癌が大きくなると脇腹のあたりに盛り上がった硬い瘤が触れるようになります。
押しても痛くないのですが、脇腹全体がなんとなく痛くなってきます。
そのほかに高熱、貧血、倦怠感、体重の減少、食欲低下などもあらわれてきます。
腎実質癌は多くは片側の腎臓にでき、皮膜を被って外に向かって急速に碩きくなります。
さらにリンパ節に転移しやすく、血液の流れにのって肺や肝臓にも転移します。
血尿のサインを見逃さないことが重要です。
膀胱癌とは?
膀胱癌は、泌尿器科のなかで前立腺癌についでおくみられる癌で、年間約5000人の患者さんが亡くなっています。
60〜70歳代の男性に好発します。
症状としては突然の血尿があらわれ、血の塊が混じっていることもあります。
しかし痛みがなく、自然にとまることがほとんどなので放置する人が多いようです。
ほかの尿路系の癌と同様に、進行すると排尿困難や排尿痛、脇腹の痛み、腰の痛みなどが起きてきます。
前立腺癌とは?
前立腺癌は、これまでに比べて増加傾向にある癌です。
この癌の好発年齢は60歳代で、年齢とともに高くなっていくこともわかっています。
高齢化社会になったことも増加の一因としてあげられるでしょう。
症状としては早期にはほとんど自覚症状がありません。
尿道から離れたところに好発するので排尿困難が起こりにくいのです。
たとえば尿道近くにできたとしても、前立腺癌は極めて小さな段階で進行癌となってしまうので、排尿困難を初期症状に期待することはできないのです。