4.A型肝炎

症状は激しいが慢性化はしない

A型ウイルスは、経口感染によって私たちの体内に侵入してきます。

経口感染とは、水や食べ物を介して口からウイルスが侵入することで、A型の場合、ウイルスに汚染された水や生の野菜・魚介類(特に牡蠣)の飲食によって感染します。

また、それらを食べた人の便や、ウイルスに汚染されたものを触った人が調理した料理からも感染するなど、感染力が強いのが特徴です。

2〜6週間の潜伏期間を経て発症する症状は「急性」と呼ぶにふさわしい激しい物で、38度以上の高熱や頭痛に加え、吐き気や嘔吐、腹痛などを伴うこともあります。

強烈な風邪のような症状が1週間ほど続いた後、やや症状は軽くなりますが、その頃になると、皮膚や目の白目が黄色くなる黄疸が現れたり、尿の色がウーロン茶のような茶褐色になったりします。

そうした小康状態を2〜3週間経て、快方へと向かいます。

A型肝炎は、発症から4〜6週間で自然に治癒するのが一般的ですが、ごくまれに、急激に症状が悪化して死に至るケースもある劇症肝炎へと発展する可能性もあるので、入院しての治療が必要です。

A型肝炎を発症したときは、炎症を起こして腫れた肝臓に血液が流れにくくなっているので、少しでも流れやすいように、横になって安静にする必要があります。

というのも、ウイルスを排除する抗体や免疫細胞を肝臓へ運ぶのも、肝細胞が再生するためのエネルギーも、すべて血液が運んでいるからです。

また、食欲不振や嘔吐により十分な栄養が摂取できていないことが多いので、糖質やアミノ酸、ビタミンなどの栄養を点滴で補給する必要もあります。

A型肝炎は一度感染すると抗体がつくられ、二度と感染することはありません

そのため、戦前戦後のA型肝炎の流行を体験した人たちの多くは、すでに抗体を持っているのであらためて感染することはありません。

その一方、抗体を持っていない若い世代での発症例が目立っており、特に衛生状態の良くない地域への海外旅行での感染が増えています。

そうした地域へ旅行するときは、旅行前にワクチンを接種するのが効果的です。

しかし、ワクチンは4〜6週間をかけて2〜3回の接種が必要なため、旅行までに時間がなく、ワクチンの効果が期待できないことも少なくありません。

海外でA型ウイルスに感染しないためには、火が通っていない生水や生ものを口にしないことと食事前後の手洗いが大切です。

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