5.B型肝炎

血液や体液を介してウイルスが感染

B型肝炎ウイルスの感染には、感染経路によって垂直感染と水平感染があります。

垂直感染とは、B型肝炎ウイルスのキャリア(症状が出ないウイルス保持者)である母親からその子供への母子感染のことをいいます

垂直感染では、生まれたばかりの子供は免疫機能が未完成のため、症状が出ること無くキャリアとして成長。

免疫機能が確立する思春期以降に発症して慢性化することが多く、約130万人と推定されるB型慢性肝炎患者の大部分が、適切な完成防止策が施行される以前に垂直感染した人たちだといわれています。

現在では妊娠検診の際に検査を行い、母親がキャリアの場合、生まれる子供に免疫ワクチンの接種を行うため、垂直感染による発症は予防できるようになりました。

水平感染は、母親から子供へという垂直的な感染に対して、それ以外の感染のことをいいます。

以前は、ウイルスに侵された血液を用いた輸血血液製剤汚染された注射針や医療器具を介するのが水平感染のメインでしたが、現在ではチェック体制が厳しくなったため、そうした感染はほとんどありません。

その一方で近年増えているのが、キャリアとの性交渉による感染と、薬物乱用者の注射針の使い回しによる感染です。

なかにはウイルスに感染しても特に症状が現れない「無症候性キャリア」と呼ばれる人もいます。

こうした無症候性キャリアであっても、ある日突然発症する場合がありますが、なかには症状が現れないまま一生を終える人もいます。

軽度の場合は普段の生活も可能

B型肝炎の初期症状は「だるい」「疲れやすい」などで、進行が進むと黄疸が出ます。

しかし病状はA型肝炎よりも軽く、黄疸が出ても気付かいない人がいるほどです。

B型ウイルスに垂直感染または乳幼児期に感染した場合、思春期以降に軽度の肝炎を発症して慢性化、または発症しても沈静化して無症候性キャリアになるのがほとんどです。

慢性化すると時間を経て肝硬変、そして肝臓がんへと進行しますが、B型肝炎の肝硬変への進行はC型肝炎よりも10年は早いといわれています。

なかには慢性肝炎からいきなり肝臓がん、病状が急変する劇症肝炎を発症することもあります。

一方、大人になってから感染した場合は一過性感染と呼ばれ、約70%が自然治癒します。

しかし残りの約30%が急性肝炎を起こし、さらにその2〜3%が劇症肝炎化するといわれています。

また最近、慢性化するB型肝炎ウイルスが存在することがわかってきました。

B型肝炎の治療には、抗ウイルス剤の服用やインターフェロンの投与を行います。

重症でない限り、A型肝炎のような横になっての安静は必要なく、普段通りの生活が可能です。

ただし、血液や体液を介して感染するので、衣類の洗濯や使用する食器類を家族と別にしたりするなど、周囲へ感染しないように注意が必要です。

また性交渉には、必ずコンドームを使用するようにしてください。

PAGE TOP