6.C型肝炎

肝臓がんの約70%の原因がC型肝炎

C型ウイルスは、血液を介して感染します。

B型と違って感染力が弱いため、性交渉などの体液を介して感染することはないと考えられています。

かつての主な感染ルートはB型同様、ウイルスに侵された血液による輸血や血液製剤、医療器具などによって感染していました。

じつはC型ウイルスが発見されたのは1986年です。

この発見を受けてC型ウイルスに対する感染予防の対応が図られたため、今日ではそうした原因による感染はほとんどありません。

近年のC型肝炎ウイルスへの主な幹線原因は、薬物常用者の注射針の再利用や入れ墨、ピアスの穴あけなどに変わっており、日常生活で感染することはなくなりました

C型ウイルス感染者は、現在約200万人いると推測されていますが、そのほとんどが感染予防が施行された1992年以前に輸血や大きな手術をした人、輸入非加熱血液製剤を投与された人たちです。

しかもその約半数に上る約100万人が、自分が感染していることに気付いていないといわれています。

その大きな要因は、C型ウイルスに感染して急性肝炎を発症しても、その症状が非常に穏やかなためです。

たとえ症状が緩やかでも、発症すると70〜80%が慢性肝炎化してしまい、治療を始めなければ、肝硬変から肝臓がんへと進行していきます。

じつは、日本における肝臓がんの約70%はC型が原因といわれるほど、危険なウイルスなのです。

静かに進行するC型肝炎

C型ウイルスの最大の特徴は、感染して急性肝炎を発症しても気付かないことです。

C型肝炎の初期症状は、自覚がありません。

自覚できたとしても、体がだるかったりちょっと熱っぽかったりする程度で、軽い風邪と間違えてしまうのです。そして感染に気付かないまま、急性肝炎から慢性肝炎へと進行。感染からC型肝炎の発症を指摘されるまで20年以上がたっているということも少なくありません。

C型ウイルスに感染すると、2週間〜6ヶ月の潜伏期間を経て急性肝炎を発症します。

ほとんどが感染に気付かないまま慢性肝炎へと進行しますが、免疫力が強い一部の感染者の中には自然に治癒する人も20%程度見受けられます。

慢性化した肝炎は、20数年をかけて軽度、中度、重度、そして肝硬変へと症状を悪化させ、ついには肝臓がんへと至ります。

しかしC型肝炎は、肝炎からいきなり肝臓がんになったり、劇症肝炎を発症したりすることは、まずありません。また、経過が予測しやすいので、治療プランもたてやすい病気です。

慢性化したC型肝炎は、ウイルスを排除しない限り、自然に治癒することはありません。

C型肝炎に対処するには、まず自分がC型ウイルスに感染していないか検査を受けることです。

感染が確認されたら決してあわてず消化器内科医に今後の治療方針を相談しましょう。

次は「肝硬変」

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