7.肝硬変

肝炎が進行すると肝細胞が線維化する

慢性的な生活習慣の乱れやウイルスの感染によって肝細胞が壊死し、肝臓に炎症が起こりますこれが肝炎ですが、このとき肝臓は壊死した肝細胞を修復しようと、肝細胞の再生を行います。

きちんと治療せずに肝炎が慢性化すると、肝臓内では肝細胞の壊死と再生が繰り返されるわけですが、何度も繰り返されるうちに再生が不完全になり、壊死した肝細胞が繊維のように硬くなる「線維化」を起こします。

線維化がさらに進行すると、肝臓の表面に「再生結節」と呼ばれるいびつなコブ状の塊ができ、肝臓自体が硬くなってきます。これが肝硬変です

肝硬変になると、肝臓は硬くなり、萎縮して小さくなってしまいます。

健康な成人なら1200グラム程度はある肝臓ですが、肝硬変にかかると1000グラム以下と、重量も減少。

当然、正常に機能する肝細胞も減少するわけですから、肝機能そのものが著しく低下します。

しかし残った肝細胞がなんとか肝機能をフォローしているため、自覚症状はほとんどありません。

こうした肝硬変の初期段階を「代償性肝硬変」と呼んでいます。

それに対して、線維化がさらに進み、肝機能障害の自覚症状が現れるようになった段階を「非代償性肝硬変」と呼びます。

この非代償性肝硬変にまで進行すると、肝臓がんになる確率が非常に高くなるだけでなく、肝性脳症などの生命そのものを脅かす危険な症状も現れます。

肝機能低下による特有の症状

急性肝炎を経て、慢性肝炎から肝硬変に至るまでは数十年の時間がかかります

しかし「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓だけあり、その間はまったく自覚症状はありません。

それだけに自覚症状が現れるようなら、本当に深刻な状態であると理解してください。

そして一刻も早く受診し、治療を始める必要があります。

肝硬変の後期、非代償性肝硬変にまで進行すると肝臓が機能しなくなり、肝硬変特有の自覚症が現れます。

代表的な症状として、血液中にビリルビンが流れだし、尿がウーロン茶やコーラのような濃い茶褐色になったり、黄疸が現れたりします

男性の場合、肝臓が女性ホルモンの分解ができなくなり、女性のように胸が膨らむ女性乳化房という症状も見受けられます。

このほかにも、胸や首の毛細血管がクモの巣のように赤く腫れるクモ状血管腫、手のひらが赤くなる手掌紅斑といったわかりやすいものだけでなく「むくみが取れにくい」「疲れやすい」「あざができやすい」などの気付きにくいものもあります。

次は「肝臓がん」

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