90%以上がウイルスの感染が原因
肝臓がんには、転移性と原発性があります。
転移性とは、胃や大腸など、ほかの部位で発生したがん細胞が肝臓に転移して起こるもので、肝硬変や慢性肝炎とは無関係に発症します。
一方の原発性は、肝臓事態にがん細胞が発生するもので、その90%以上が肝炎ウイルスによるものです。
そして、大部分がC型ウイルスの感染が原因とされており、C型ウイルスに感染していない人を1とすると、感染している人の肝臓がん発症確率は500倍にも上がるとさえいわれています。
C型ウイルスの慢性肝炎は、肝炎の発症から肝臓がんに至るまで、一般的に20〜40年の年月がかかります。
慢性肝炎になったら必ず肝臓がんになる、というものではありません。
しかし肝硬変まで進行すると、5〜15年を経て、かなりの高率で肝臓がんを発症します。
一方、B型ウイルスによる慢性肝炎は、一般的にC型ウイルスの感染よりも肝臓がんへの進行が早めだとされています。
というのも、C型の慢性肝炎よりも30〜40歳代での肝臓がんの発症例が多いからです。
B型慢性肝炎はC型慢性肝炎よりがんに対する注意が必要といえるでしょう。
治療の最善策は早期発見・早期治療
がんの治療には、早期発見・早期治療が大切なのはいうまでもないでしょう。
しかし肝臓がんの場合、早期発見をするには定期的な通院が不可欠です。
というのも、発症初期にまったく自覚症状がないからです。
病状が進行すると、濃い茶褐色の尿やクモ状血管腫など、肝硬変と同様の症状が現れます。
転移性の場合、こうした症状によって体の以上に気づくことになります。
ですが原発性の場合、そのほとんどが肝硬変を経ての発症のため、それまでの肝硬変の自覚症状が続くだけだからです。
ウイルス性の慢性肝炎あるいは肝硬変と診断されたなら、こまめに通院することが、肝臓がんの早期発見・早期治療のなによりの最善策といえるでしょう。
現在行われている主な肝臓がんの治療は、大きく「切除手術」「局所療法」「肝動脈塞栓術」の3つに分けられます。
どの治療法を施すかは、がんの進行具合と、肝機能がどれほど維持されているかによって決まります。
いくつかの治療法を併用することもあります。