停留精巣とは?
停留精巣とは、男の子が生まれる前に、おなかの中にあった精巣が、陰嚢(おちんちんの下にある袋)まで降りてこない状態を指します。生まれつきみられるもので、男の子の約3人に1人が経験する、比較的多い先天性の異常です。
停留精巣の原因
停留精巣の詳しい原因は、まだ完全に解明されていません。しかし、以下の要因が関係していると考えられています。
- ホルモンの異常: 精巣を陰嚢に降ろす働きをするホルモンの分泌量が不足している場合
- 精巣を包む組織の異常: 精巣を包む組織が硬く、精巣がスムーズに移動できない場合
- 鼠径管の異常: 精巣が通る道である鼠径管が狭くなっている場合
- 遺伝的な要因: 家族に停留精巣の患者さんがいる場合
停留精巣の症状
- 陰嚢に精巣が触れない: これは最も分かりやすい症状です。
- 鼠径部に違和感: 精巣が鼠径部(足の付け根)あたりにある場合、違和感を感じることもあります。
- 痛み: 痛みを伴うことは少ないですが、感染を伴う場合は痛みを感じることもあります。
停留精巣の治療法
停留精巣の治療法は、年齢や精巣の位置、合併症の有無などによって異なります。
- 経過観察: 生後6ヶ月頃までは、自然に降りてくるのを待つことがあります。
- ホルモン療法: 男性ホルモンを投与して、精巣を陰嚢に降ろす治療法です。
- 手術: ホルモン療法が効果がない場合や、合併症がある場合は、手術によって精巣を陰嚢に移す治療法が選択されます。
停留精巣を放置するとどうなるの?
停留精巣を放置すると、以下のリスクがあります。
- 精巣の機能低下: 高温の体内にとどまることで、精子の数が減ったり、精子の質が低下したりする可能性があります。
- 精巣がんのリスク増加: 停留精巣は、成人になってから精巣がんになるリスクが上昇すると言われています。
- 捻転精巣: 精巣がねじれてしまい、激しい痛みを伴うことがあります。
- 鼠径ヘルニア: 鼠径部にヘルニア(脱腸)が起こりやすくなります。
停留精巣の予防
停留精巣は、先天的なものなので、完全に予防することはできません。しかし、妊娠中の母親がバランスの取れた食事を心がけ、禁煙・禁酒をすることで、赤ちゃんが健康に育つようにすることは大切です。
停留精巣に関するQ&A
Q. 停留精巣は治りますか?
A. 治療法によって治癒が期待できます。ホルモン療法や手術によって、精巣を陰嚢に移すことで、見た目も機能も正常な状態に近づけることができます。
Q. 停留精巣の手術は怖いですか?
A. 手術は日帰りで行える場合もあり、全身麻酔で痛みを感じることはありません。術後の痛みも、鎮痛剤で十分にコントロールできます。
Q. 停留精巣があると子どもは産めませんか?
A. 早期に治療すれば、ほとんどの場合、子どもを産むことができます。しかし、放置すると、精子の数が減ったり、精子の質が低下したりして、不妊の原因になる可能性があります。
Q. 停留精巣は遺伝しますか?
A. 遺伝する可能性はありますが、全てのケースで遺伝するわけではありません。
まとめ
停留精巣は、早期発見・早期治療が大切です。もし、お子さんの陰嚢に精巣がないことに気づいたら、小児科医にご相談ください。