膝の痛み

大腿骨内顆骨壊死症

症状

膝の関節の内側に、突然強い痛みが起こります。

とくに夜間、寝ているときに痛みが強くなるのが特徴です。中年期以降の女性に多く発症します。

やがて、歩行や階段の登り降りなど、膝に負担のかかる動作をすると痛みが強く現われ、膝に水(関節液)がたまることもあります。

痛みの程度はしだいに強くなりますが、一時期、痛みが軽減することもあります。

原因

大腿骨への血流が悪くなり、大腿骨の下端内側にある骨の一部が壊死するものです。

血流が悪くなる原因は不明です。

治療法

初期にはX線検査で骨の変化はみられず、診断が特定されにくいことがあります。

症状があれば正座や長時間の歩行、階段の登り降りを避け、膝への負担を少なくすることを心がけます。

痛みに対しては、消炎鎮痛薬を用います。膝を安定させる装具、ステッキや松葉杖の使用も有効です。

定期的にX線検査やMRI検査を受けることも必要です。

進行した場合は、壊死した部分の負担を軽減する高位脛骨骨切り術を、重度に進行した場合は、人工膝関節置換術を行います。

離断性骨軟骨炎

症状

10歳代の成長期に多い病気で、運動時や運動後に膝の関節の奥に激痛が走ります。

進行すると日常的に痛みが起こります。

原因

関節軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が壊死し、関節軟骨の一部とともに死んだ骨片が関節内にはがれ落ちる病気です。

軟骨や骨片が関節の中を動きまわり、関節軟骨の間にひっかかったり、骨の間にはさまったりすると、強い痛みが引き起こされます。

これを関節ねずみ(関節遊離体)といいます。

遊離体はじっとしていないので、痛む箇所も程度も、そのときによって変わります。

円板状半月板や、骨と関節軟骨の結合がまだ不完全な成長期に外傷を受けたことなどがきっかけになることがあります。

治療法

病気の段階と年齢によって異なります。

初期で、骨が完全に成長する前の時期であれば、数週間から数ヶ月間は運動や荷重(体重をかけること)を制限し、膝を固定して経過を観察します。

こうした保存療法で治らず、進行するような場合は、遊離体を取り除く手術を行うのが一般的です。

変形性膝関節症

症状

座った姿勢から立ち上がるときや、階段の上がり下がりをする際に、膝関節に痛みが起こります。

我慢して動き出すと一時的に楽になりますが、すぐに痛みはぶり返します。

放置すると膝に水がたまり(関節水腫)、膝の曲げ伸ばしが不自由になり、正座や起立動作、歩行も困難になります。

さらに進行すると、膝が完全に伸びなくなり、O脚の程度も大きくなります。

原因

膝の曲げ伸ばしに大きくかかわっているのが、大腿骨と脛骨を連結している関節です。

これらの骨の関節軟骨が、老化によってすり減ることが最大の原因です。

骨と骨の間には通常6〜8ミリの隙間がありますが、関節軟骨がすり減ると隙間が狭くなり、骨に負担がかかるようになります。

すると骨は負担を軽くしようとして、土手のような骨堤(こつてい)をつくります。

こうした新しい骨組織ができるために、膝関節全体が節くれだったように変形します。

そのほか、半月板や靭帯の損傷、骨折などの外傷、外反母趾や偏平足など足部の変形が影響することがあります。

40歳代以降の女性に多く、年齢とともに発症例が増加します。

治療法

消炎治療薬の内服や、湿布で治療します。膝用のサポーターや関節を支える装具で膝の負担を軽減するのも有効です。

痛みが治まったら、膝を支える太ももの筋肉(大腿四頭筋)をきたえる運動を行います。

膝関節に多量に水がたまった場合は、針を刺して抜き、ステロイド薬を注入する場合もあります。

最近は、関節機能を改善するヒアルロン酸の関節内注射も用いられます。

関節の変形が進行している場合は、手術が必要です。

関節内にある軟骨などを洗浄する方法や、脛骨をくさび形に切ってO脚を矯正する高位脛骨骨切り術などがあります。

骨まで破壊されているような場合は、人工膝関節置換術を行います。