股関節の痛み

変形性股関節症

症状

股関節を動かしたり歩くと、軽い痛みが起こるようになります。

初めは休むと治る程度ですが、しだいに動かさなくても痛むようになり、関節の動きも悪くなります。

進行すると日常生活に支障をきたすほど、歩ける距離が短くなってきます。

原因

股関節は、球形の大腿骨頭(大腿骨の先端)が、骨盤にある臼蓋にはまり込み、その中で自由に動くしくみになっています。

大腿骨頭の関節軟骨が加齢とともにすり減り、臼蓋と直接触れ合うようになるために痛みが引き起こされるものです。

生まれつきの股関節脱臼や、臼蓋がきちんと形成されていない臼蓋形成不全などの治療が不十分だったために、中年以降に発症するケースがほとんどです。

まれに股関節内の骨折や関節炎が原因になることもあります。

また、股関節は体重を支えて酷使される関節だけに、特別な原因がないまま、使いすぎによる老化から起こることもあります。

治療法

消炎鎮痛薬や筋弛緩薬が用いられます。

温熱療法や牽引療法も効果的です。

痛みがあるときは股関節に負担をかけないことが第一です。

軽症の場合は、薬による治療と、歩行を控える、重い荷物を持たない、杖をついて歩くなど、日常の行動に気をつけることで症状はかなり軽減します。

また、肥満は股関節への負担を大きくするので、太っている人は体重を減らすように心がけます。

痛みが治まってきたら、股関節を支える筋肉の衰えを防ぐために、医師の指示に従って運動による筋力の強化を行います。

このような治療をしても効果がないときは、手術が必要になります。

変形が比較的軽い場合は、大腿骨の上部を切って角度を買える骨切り術や臼蓋の形成手術を、変形が大きい場合は、人工股関節置換術を行います。

特発性大腿骨頭壊死症

症状

股関節に急激な痛みが起こり、関節の動きが悪くなります。

下肢のしびれや腰痛、膝の痛みをともなうこともあります。

進行すると、歩行障害をもたらします。

副腎皮質ステロイド薬を治療のために多用する人や、アルコールを多量に飲む人に多く発症します。

原因

大腿骨頭になんらかの原因で十分な栄養や酸素が送られなくなり、骨組織が死んでしまう病気です。

特発性とは、外傷や感染症などの誘引がないまま起きていることを意味します。

症状が現れるのは、壊死が起こったときではなく、壊死したあと、体重がかかって大腿骨頭が陥没し、骨盤位ある臼蓋と合わなくなってからです。

治療法

大腿骨頭に負担をかけないように、歩くときは松葉杖を使用します。

ごく初期であれば、安静と鎮痛消炎薬による治療で治癒することもありますが、多くは手術が必要になります。

症状が軽度であれば、体重のかかる関節面をずらす目的で骨切り術を行います。

大腿骨頭の大部分が壊死して陥没が大きい場合は、人工骨頭置換術や人工関節置換術が適しています。

人工関節は著しく進歩していますが、耐久性に問題があり、10年以上たつと再手術が必要になるケースが少なくありません。

そうしたことからも早期発見が重要です。MRIやX線検査で診断がつきます。